Roam Researchで自分のための日報を

仕事で、プライベートで、その他の役割で一日を送る。でも、ふとした時に、「今日、一体何をしたのだろう?」と何も思い出せないことがある。
もちろん、全く何もしなかった、ということはない。
ただ、忙しくて、その場その場に追われていたので、何をしたのか、記憶に残らず、記録も残せず、ただ大過なく(致命的なミスなく)過ごす、それだけに終わってしまった。
謎の充実感は残るが、振り返ると物足りない。
あれ、あんなに忙しかったのに、「何を成し遂げたのだ?」とエアポケットに嵌ってしまうのだ。
記録を残すだけでは
タスク管理など、消し込んだタスクのリストを眺めれば、それで満足なの?
手帳、ノート、何かのアプリ、バレット・ジャーナルなどに、すべきことを書き並べ、それを一つ一つ消し込んでいくのは、爽快感があって、とてもいい。でも、それでどうした?
ただやれば、完了すれば、それでOKなのか?当然そんなことはない。
しないより、した方がいい。
でも、何かをするということは、それによる成果を期待するものだ。いい結果を期待するから、実行するわけで、やったことで得られる自己満足は慰めだ。
あくまでも成果を出して、その結果を誇りたい。よくやったね、自分。て褒めるのは、結果に基づいたものにしたい。最終的には、結果が全てですから。
タスクを実行した記録も大事かもしれない。でも、私の場合、そのような記録を振り返ってみようという気にはならない。過去の時点のスナップショットは、懐かしむことはできても、今とのつながりが切れてしまっている。
記録を残すなら、当時何を期待し、成果につながったか検証できるものだあって欲しい。点としての記録ではなく、その先の未来につながる「線」であり、「面」を形成する、そんな記録を振り返りたい。
言葉を変えるなら、ただ写真を振り返りたいのではない。
その背景にあり、現在に繋がるストーリーを振り返りたいのです。
つながっていく記録を残す
ノートとノートにリンクを巡らせ、蓄積されることで価値を生み出していくツールがあります。IT万歳。
代表的なものに、Evernote、Scrapbox、Devonthink、Obsidian、Roam Researchなどがあります。
それぞれのツールについては、書籍もあるし、ブログで丁寧に解説されているものがたくさんありますので、そちらを見ればいろいろなヒントに溢れています。
私は、数あるツールの中で、最近、Roam Researchにハマっています。
なぜ、Roam Researchを使っているかというと、
- 会社で使用(Windows PC)したい、アプリのインストールは必要ない
- 2画面表示ができて、情報・記録を参照しながら、ノートを書ける
- ほぼ毎日手帳のように、1日単位の構成。日報形式で書ける
- 日付を挿入すると、挿入した日付のページに関連リンクとして表示される
- ファイル、描画、表など、いろいろなものを挿入できる
の5つが理由です。導入コストは高いけれど、非常に満足しています。
クラウドベースに仕事環境が移行した
勤める会社は、ここ最近、コロナによるリモート環境への移行という課題もあり、急速にクラウドベースで仕事ができる環境になりました。
気がついたら、MicrosoftのSharePointとかOneDriveが導入され、ファイルの共有をリンクベースで行うようになりました。Roam Researchはリンクの挿入が簡単なので、今日作業したファイルを今日のノートの文中にリンクで挿入します。
ファイルそのものを貼り付けてしまうと、最新版の管理が面倒になります。同じようなファイルが重複するのは、厄介です。一方で、リンクを貼るだけなら、そのあとで修正しても、修正された最新版のファイルを開くことができます。管理が楽になります。
さらに会社ではSalesforceを導入しました。
新規開発案件、各種プロジェクトや顧客の依頼事項への対応など、Salesforceに記録を残し、進捗を管理することが多くなりました。
Salesforceに書き込むとき、いちいち検索して、記入すべきページを表示させるのは面倒です。仕事で、プロジェクト進捗のレビューをするとき、更新すべき内容が書かれていないことで叱責されるのは、ごめんです。でも、内容を更新し続けるには、工夫が必要です。
Salesforceに記入すべきページは、それぞれ独立したURL(アドレス)を持ったWeb Pageです。つまり、そこへのリンクを貼れば、クリックするだけで目的のページを開くことができます。手元のツールに、そのリンク集があれば、プロジェクトFのお客様との打ち合わせのレポートを参照したり、解決すべき課題の進捗報告を記入することが容易になります。これを日報と組み合わせます。
Roam Researchの日報に、その日したことを記録すると同時に、Salesforceのリンクを貼るのです。これで参照するための、リンク集になります。さらに、そのプロジェクトの管理番号をタグとして登録すれば、Roam Researchによる縦串を貫いた検索、表示が可能になり、そのプロジェクトの細かな推移の追いかけが簡単になります。
Teamsというコラボレーションツールも、OneNoteも、OneDriveを通じてクラウドベースで作業できるので、それぞれのノートやタスクもリンク共有できます。ですから、これらのリンクをRome Researchの日報に貼り付け、日々の進捗を一元管理でき、振り返りやすくなりますし、それが時間の流れの中で記録、ノートが有機的につながっていくので、細切れ状態の仕事のアクションがつながりを持ち、漏れや抜けがなくなっていきます。
細切れの情報がつながっていくだけで、片付け仕事ではなく、整理された流れとして定着していきます。些細なことですが、猛烈な効果を発揮します。
日報形式
Roam Researchは日報形式でノートを残します。
「超」整理法では、「時間軸」を検索キーとして、情報を分類することなく、自動的に構造化されて検索しやすくなる、という方法を提案しました。私が大学生の頃ですから、もう、30年も昔のことです。でも、今もそれを上回る整理方法に出会ったことはありません。
ノート作成でも、時間軸という検索軸は非常に有効で、確かあの頃にやったと思うのだけれど、という記憶は案外に確かなものです。Roam Researchでざっとスクロールして該当する時期の記録を見れば、なんとかなる、という安心感はとても重要です。
また、日付ごとにノートが作成されても、箇条書きの中で「/tomorrow」と記載すると翌日の日付が表示され、さらに翌日のノートにリンクとして表示されます。今日も、昨日も、そしてカレンダーから特定の日付を選択して、日付を挿入できます。そうするとその日付のノートに、その行のメモがリンクとして表示されます。
例えば、期限のあるタスクをノートに書き、同じ行に期限日の日付を挿入しておけば、その日のページにその行の内容がリンクノートとして表示されます。
上の画像では、10月1日朝のノートの下に、9月29日と30日に書いた10月1日にすべきことのメモが表示されています。このように、ノートの内容をリマインドできるのがとても便利です。
この機能を有効活用すれば、Roam Researchだけでタスク管理できます。
それと同時に記録も残せば、振り返りに有効なノートの出来上がりです。スケジュール管理にも使えるので、とても便利です。
かなり多機能
Roam Researchの利用には結構まとまった料金を必要とします。
だからなのか、とても活発に機能追加開発がなされています。先日のアップデートでは、手書きメモ機能も実装されました。
それ以外では、
- ポモドーロタイマーの設定
- コードや数式の挿入
- 計算機
- 図、表、手書きメモ(線画)
- カンバン表示
- 検索式を入力して参照表示する機能など
いろいろな機能がありすぎて、全部使い切れていません。
まずは日々の日報としてのノートを書きためていきながら、自然と階層化され、振り返りながら、ノートの上手な検索、再活用、発散から収束への使い方をできるようにしようと思っています。
使い始めて3ヶ月
7月3日からRoam Researchを使い始めてますので、まもなく3ヶ月が経過し、4ヶ月目に突入ということになります。
随分とノートが溜まってきているはずですが、動作はとてもスムーズです。検索も全く問題ないです。ただこれからは、ある程度定期的にノートの内容をまとめたり、検索してリンク表示できる機能を上手に利用して、過去のノートの記録を手元で参照でき、新しい情報や価値を上乗せして、都度Updateされていく、進化し続けるノートに育て上げていきたいと思います。
そうなれば、兼好法師が呟いた「奇しうこそ物狂ほしけれ」の境地とは違う世界に飛び立てるのかもしれません。